Shopifyでは、支払いの確定方法を「自動」か「手動」で選ぶことが出来ます。今回はこの選択について、どちらを選ぶべきか解説します。
支払いの確定とは?
Shopifyでは注文が入ると、決済がまず「承認(オーソリ)」されます。
例えばクレジットカード決済であれば、カード番号などに不備があれば「承認」されず、エラーとなり決済が出来ません。
カード番号などの決済情報に間違いが無ければ、支払が「承認」されて請求可能な状態となります。この請求可能な状態になったものに対して、実際に請求を行なうのが、「確定」です。
Shopifyでは支払いを確定すると、商品発送の有無にかかわらず、自分の口座に売上金が入金されることとなります。一方で決済を「確定」しない限り、たとえ商品を発送したとしても売上金が入金されることはありません。
そのため支払いの確定は、売上金を受け取るためにはどうしても必要な作業となります。
自動と手動の違いは?
支払の確定を「自動」にした場合、注文が行なわれて決済が「承認(オーソリ)」されると同時に、「確定」もされます。デフォルトでは自動になっています。
一方で「手動」の場合は、注文時には決済が「承認」されるだけで、管理画面から「支払いを確定する」のボタンをクリックして「確定」しない限り、実際には「保留」状態のままとなります。注文者側にとっても、クレジットカード決済であれば与信枠が確保されるだけで、実際に請求されていない状態となります。
「自動」のままであれば、注文があればそのまま発送まで何もせずとも勝手にお金が入金されてくることになりますが、「手動」の場合は、「支払いを確定する」の動作を挟む必要があり、手間が1つ増えるとも言えます。
わずかであったとしても、注文が増えれば増えるほど手間は増えるため、単純に自動のままのほうが良いのではないかと思うかも知れませんが、実際にはもう少し複雑な事情があります。
自動と手動のどちらがいい?
結論から言えば、Shopifyで輸出をするのであれば「手動」の方が良いでしょう。
理由は、「確定」をしてしまうと、注文をキャンセルして返金する場合でも、決済手数料が請求されてしまうからです。
Shopfiyペイメントの決済手数料は、プランや国によっても異なりますが、大体は決済額の3%程度です。
例えば送料を含めて200ドルの注文があった場合、約6ドルの決済手数料がかかることになります。この決済手数料がいつ請求されるかというと、「支払いが確定された時」です。
つまりShopifyでの決済手数料は、商品発送の有無やキャンセルの有無にかかわらず、「支払い確定」を行なうことで請求されてしまうのです。
輸出ではキャンセルが一定程度ある
Shopifyの輸出では、キャンセルが一定程度発生します。もちろん、国内向け販売であってもキャンセルは発生するでしょうが、恐らく輸出のほうがその数は多くなるはずです。理由は複数ありますが、大きくは以下の3つが考えられます。
1つ目は、顧客がよく内容を確認せずに注文をするからです。例えば、商品が「日本語だったことを知らなかった」「日本から発送されるのを知らなかった」など、注文ページに書いてあることを読まずに注文して、注文後にそのことに気づくことが少なからずあります。
2つ目は、気変わりしてキャンセルしたい顧客もいるからです。恐らく国内向け販売であってもそういった人は一定数いるかとは思いますが、海外の場合は日本のような「遠慮」が少ない分、簡単にキャンセルをしようとする人の数が増える傾向にあります。
3つ目が、詐欺注文・不正注文の数が多いからです。Shopifyペイメントでは「不正注文」の確度を「低」「中」「高」で示してくれる機能があります。別記事でも解説しましたが、ここで「高」の場合は、高確率で不正注文であることが多いです。この不正注文は、国内向けだけで販売しているより、輸出をして世界中から購入可能にしている方が、格段と数が増える傾向にあります。
他にも理由はありますが、主には上記のような理由で、「キャンセル」しないといけない場合は、以外と多く発生します。
この場合、例えば「不正注文」の可能性があったとしてキャンセルしたとしても、1度支払いを確定してしまえば、決済手数料が発生してしまうのです。
そして注文が増えてくれば来るほど、このキャンセルによる決済手数料が、大きな負担となってきます。そのため「手動」に設定しておくことで、この無駄な手数料を避けることが出来ます。
注文が多くなると手間ではないか?
確定を手動にすることで懸念されるのが、注文が多くなると手間では無いか、と言うことです。
もちろん、注文を1件1件確定していればそれなりの手間になります。
ただこれに対しては、Shopifyでは注文管理画面で注文を一覧表示でき、ここで複数注文を選択して一括で「支払いを確定する」ことが可能です。
例えば「受注から●時間以上たったものは確定する」などのルールを決めておけば、一定数の注文をまとめて確定できるため、それほど手間にはならないでしょう。
顧客からくる注文のキャンセル依頼は、注文直後や注文してから数時間以内というものが多いです。それ以降でもキャンセルの依頼はあると言えばあるのですが、数はかなり減るため、受注後6時間や12時間等の時間を決めて一括で確定処理をするようにすれば、ある程度キャンセルによる決済手数料の発生を抑えながら、手間もかけずに済むでしょう。
低単価・大量受注のものであれば自動でも
もちろん、全ての場合で「手動」がいいと言うわけではありません。
例えば、1件当たりの受注額が低く、1日に当たり数百件、数千件も受注するような状況であれば、自動でも良いかもしれません。
このあたりは、ショップの状況に合わせてケースバイケースで対応すれば良いでしょう。
ただ輸出の場合は、送料も含めて考えれば、1件当たりの受注が数ドルというような、低価格になるようなことはほぼ無いでしょう。
そう考えれば、Shopifyで輸出をするのであれば、多くのケースで「手動」にしておいた方が良いとは言えます。